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水戸家庭裁判所下妻支部 昭和36年(家イ)63号 審判

申立人 小山幸子(仮名)

相手方 吉村文子(仮名) 外一名

主文

相手方吉村文子と相手方小山良子との間に親子関係の存しないことを確認する。

理由

一、申立人は主文同旨の調停を求め、その理由の要旨は次の通りである。

相手方小山良子は、戸籍上は守と相手方文子との間の子として戸籍に登載されているがこれは事実に反する。申立人小山幸子は昭和二十六年五月守と事実上の結婚をなし両名間において良子を出産したのである。当時守には別居中の本妻文子があつたため申立人は守と正式に結婚できず右良子を婚姻外の子として届出するに忍びず正式の夫婦となつている守と文子間の子として届出でた。申立人は昭和二十九年三月十日守と正式に結婚し、同棲し、良子を出産してからは引続き養育中であるが右の如く誤つて戸籍に登載されているから前記申立の通りの調停を求める。

二、(イ) 本件調停委員会が昭和三十六年七月十日、同月十七日と二回当裁判所において開かれたところ、申立人は出頭したが相手方文子は出頭しなかつたことは本件記録に徴し明らかである。

(ロ) 戸籍謄本によると良子は小山守とその妻文子間に昭和二十七年七月十日出生した子として登載せられていることを認めることができる。

(ハ) 医師曽山文江の出産証明書及び調査報告、本件記録によれば相手方良子の法定代理人実父守は昭和十六年七月二十九日文子と結婚して同棲生活を営んでいたが昭和二十二年暮頃妻文子を遺して上京して就職し別居して生活しているうち、昭和二十三年暮頃より妻文子と不仲のため交通もなくなり全く戸籍の上においてのみ夫婦となりおるに過ぎない状態で暮しているうち世話する人があつて守は申立人と事実上の結婚をし、相手方良子を出産したものであること、申立人が本件調停を申立てたとき守は相手方文子方に赴き調停期日には必ず出頭して欲しいと懇請したのであるが同相手方は守に対し感情を害していたためその意に従わずして本件調停期日にも出頭しなかつたことを認めるに足る。

当裁判所は、調停を試みようとしたが相手方文子は申立人の申立の事実を認めておりながら期日に出頭せず調停が成立しないから、右(イ)(ロ)(ハ)等一切の事情を斟酌して調停に代る審判をなすを相当と認め調停委員の意見をきいた上、家事審判法第二四条によつて主文のように審判する。

(家事審判官 亀下喜太郎)

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